家に帰ると、俺より先に、恵子が駆け込んでいった。
「おかあさ~ん、見て見て~、隆がプレゼントしてくれたの~」
胸元のネックレスを摘まんで、ホラホラって、
母親に貰った時の経緯を身振り手振りを交えて、説明している。
「へーっ!おまえがね~。そんな、ギザな事ができるようになったんだね~」
それって、誉められてるのかな?
まあ、恵子がスゲー喜んでるから、まあ、いいやって思うんだけど。
俺の中で、今わまで恵子に抱いていた感情と違うモノが芽生えているように感じる。
今までも、恵子の事は好きだったけど、いつも一緒にいて、楽しくて、なんか、それだけで良かったような気がしてた。
周りが、勝手に付き合ってると、思ってて、俺自身も、俺達、付き合ってるって事でいいんだと勝手に思ってた。
母親と、ワイワイ、キャイキャイと話している恵子を見ながら、ふと、不安になった。
別に、キチンとコクった訳でもないし、好きだって言った覚えもない。
恵子が、もし、今までの俺みたいに、スッゴク仲のいい幼馴染み、くらいにしか思っていなかったら・・・
「部屋にいるよ」って言って、自分の部屋に逃げた。
後ろから、「まあ、照れちゃって」と言う母親に、「ね~っ」と恵子が応じ、二人して、キャハハっと笑いあっている。
部屋に戻って、落ち着いて考えたかった。キチンとコクった方がいいのか?
でも、もしコクって、俺の勘違いで、今の関係がギクシャクしたら・・・
しかし、コクらないで、万が一、恵子が他の男と・・・
あーっ!頭の中が、グルグルしてる。
コクれば、いい方なのか、悪い方か、解らないけど、一応、答えはでるんだろう。だけど、もし、悪いほうだったら・・・
俺って、こんな、根性無しだったの?
根性極めて、告白しちゃえばいいんだよ!
って、解っちゃいるんだけど・・・
「隆~!」バンってドアが開いて、恵子が入ってくる。
「おぉっ!」不意を突かれてびっくりした。
「これ、本当にありがとね!チョー嬉しかった」って言って抱きッいてきた。
「おぉぅ!気に入ってくれたなら良かった」
いきなり、抱き付かれて、心臓、バクバクなんですけど!
「じゃあ、帰るね~、ママに自慢するんだ~、またね~」って言って嵐のように帰っていった。
心臓のバクバクが、収まるまでしばらくかかった。
あんな風に、抱き付いて来るってことは、恋人同士って考えていいんだよね!でも、男女関係を意識してない、幼馴染みだから、抱き付けるのかな?
あぁ!グルグルが止まらない!