私が勤めるサワハタ書店の営業時間は朝10時から夜7時まで。
アルバイトが入る時間は朝9時から夜8時までだ。

一人立ちした私はシフトに入る時間も曜日もバラバラになっていた。


電車の定期券も買った。
しばらくモタモタしていたのだけど、あいつがいつまで忙しいかわからないし、そもそもヤツを当てにしている自分が嫌になったから。


もう一月も終わる。

私はヤツの作ったお米を食べ、ヤツの本をたまに売る生活を続けながら、私の地元の方で就職活動を始めていた。

予想していたことだけど、かなり難航している。
時期も悪いのかな?
募集自体がそんなにない。

やっぱり隣県にまで範囲を広げないと無理かな、それともそろそろほとぼりも冷めただろうし東京に戻ろうかな、と考え始めていた。


ただ、賞の発表が3月なのだ。
「万にひとつもない」とは言っても、億にひとつくらいは可能性があるならば、無視してここを去ることもためらわれる。

なんで私があの男に縛られなきゃいけないんだ?