最終的な結論として、人間の限界まで深く接近したところで私の渇望は癒されなかった。

トモ君の名誉のために言うと、満足できないとかそういう意味ではない。
それはそれは宝物のように・・・(きゃあ!割愛っ!!)

だけど、近づけば近づくほど離れがたくなってしまったのだ。


雪のように真っ白な胸に顔を寄せ、カフェオレ色の腕(冬の間に多少日焼けが落ちたみたい)にしっかり抱かれて、私はすっかり途方に暮れる。

一体いつの間に、こんなに好きになっていたのだろう。



私は都会が好きだ。
イケメンが好きだし、お金はあればあるほどいいと思っている。

そんなに遠くない未来、「東京に行きたーい」「お金なーい」「虫嫌ーい」とギャーギャー騒いでいる自分がありありと目に浮かぶ。
でも同時に、騒ぐ私をいつものキラッキラの笑顔で見るトモ君の姿も見える。


嫌だ嫌だと言いながらも私はこの選択を決して後悔しないのだろう。
それだけは、絶対の確信がある。

そもそもどんな結果になろうとも、自分が選んだ道を後悔したことなど、ただの一度もないのだけど。



「夢を見てるみたい」

トモ君が乙女のようにうっとりと言った。

「ずいぶんと激しい夢だこと」

「夢なら目覚めたくないし、現実なら眠りたくない」

「私は寝るよ。明日も仕事だし」

「夢にも出てきてくれる?」

「昔の人の理屈で言えば、出るはずだけど?」

「じゃあもう、お互い夢でも会えるんだね」

「私の夢にトモ君が出てきたことないよ。想いが足りないんじゃない?」

「えー、そんなことないよ。すっごく愛してるよ、芽実ちゃん」

「・・・・・・・・・・ワタシモ」


目を閉じても開いても、あなたは私だけを見ていればよろしい。