「まず、わかった。芽実ちゃんも大変だったね」
舌の感覚が麻痺しているのか、熱々のほうじ茶を眉ひとつ動かさずに飲んで、美弥子さんは言った。
「ごめんなさい。ありがとう、美弥子さん。次は気をつけるから」
殊勝にも反省と未来への抱負を口にしたのに、美弥子さんは呆れたような哀れむような目を向けてきた。
「相手を選べればね」
「失礼な!まだ20代だし、そこそこモテるよ!」
「そういう意味じゃないよ。恋愛なんて条件を見定めてするものじゃないんだから、最終的には博打だっていうこと」
「冗談じゃない!博打なんて打たないよ。シンデレラみたいな夢は見ないから、とにかくまともな人!まともに働いて、まともな感覚を持って、まあ見た目もまともなMr.MATOMOと結婚する。最悪、恋愛は結婚後にするつもりで婚活に励むのでよろしく!」
「婚活の前に就活でしょ?」
「・・・はい。明日から車貸してください」