「はぁー……恋してぇな……」

「だな……美少女と曲がり角でぶつかりたいな」

「良いなぁそれ、もちろん巨乳だろ」

「いや俺は意外とまな板の方が良いなぁ」

「お前変わってるな」

「お前こそ夢持ちすぎだろ」

いつもと変わらない教室

いつもと変わらない俺達

いつもと変わらない会話……

「おい人の机で何してるんだ」

「恋してぇ」「だな」

「おい聞いてるのか大崎、野田」

「あー恋してぇ……」「だなぁ」

ガンッ❗机を叩く

「うぉっ❗居たのかよ神崎」

「びっくりしたぁ…いるなら居るって言えよ」

「さっきから居た、ずっと座っていた」

「おっ?ついに真面目君の神崎も恋したくなったか」

「ついにか~…で?相手は?」

「はぁ…俺は恋したくもなってないし好きな人も居ない」

「ちぇー何だよつまんねーな」

「はぁどうせ俺達の会話を小馬鹿にしてんだろ?」

俺がそう言うと神崎はいつもと

変わらないポーカーフェイスで言った

「曲がり角でぶつかったら恋が始まるのか?」

「へっ?」「?」

「へっ?じゃない大崎、あと野田何だその顔は……だからお前達が言ってる恋は曲がり角でぶつかって始まるのかと聞いているんだ」

「そりゃあ……恋の始まりと言ったら」

「曲がり角とか図書室とか……」

「では曲がり角でどんな奴と出会うんだ」

「そりゃあとびっきり美少女で巨乳のパンくわえて走るドジッ子属性だよ」

「属性とは何だ」

「人間のステータスを分かりやすくしたみたいなやつだよ」

「そうか…では聞くが……仮に曲がり角でお前達とそのドジッ子属性の大和撫子がぶつかったとして……どういう経緯で恋に落ちるんだ」

「転けたドジッ子に手を差しのべて『大丈夫?立てる?』って言ったらもう恋の始まりだろう?」

「んで今朝ぶつかった美少女は実は転校生で隣の席になるんだよ❗」どやっ

「………おかしい」

「?何がおかしいんだ?」「うんうん」

「普通そんな事にはならないだろ……大和撫子がぶつかったとして、まず一番先に気遣うべきは大和撫子の顔面と自分の制服だ、大和撫子がなにもつけてない状態のパンをくわえていたとしても、ある程度制服にはパン粉がつくし大和撫子の顔にだってパン粉が着く筈だ……もっと言えば大和撫子がくわえているパンにイチゴジャムが塗ってあったとしよう、そうなってくれば話は変わってくるぞ、大和撫子の顔面と髪の毛がジャムだらけかお前達の制服がジャムだらけになるかだ……そうなった場合お前達はどうするんだ?顔面赤いイチゴジャムまみれの大和撫子を気遣うか、帰ったらまず母に怒られるであろう自身の制服を気遣うか、どっちだ?」

「い…イチゴジャムまみれでも顔面の方が大変だろハンカチ取り出して『大丈夫?立てる?洗おうか』とか言うよ」「そうそう、制服は洗えば良いし」

「ふむ…なるほど、気まずくはならないのだな不思議だ、では何故隣の席になる?そう決まってるわけでは無いだろう?」

「決まってなくても恋の展開は大体そうなるんだよ」

「お前達は漫画の話をしているのか」

「そうそうまんがみたいな恋したいだろ?」

「割りと思考が女子だな」

「悪かったな❗」二人揃って言う

「では漫画の話をしていると言うことなら聞くが…ドジッ子属性の顔もスタイルも良い完璧大和撫子が…お前達暮らしてきたなかで居たのか?一人でも」

「………」「………」

「では話をしよう、この学校にもし、元気で運動神経が妙に発達している元気系大和撫子、クラスで真面目であまり目立たない地味な子だが眼鏡を外せば美少女の大和撫子、学校の生徒会長成績優秀だがお前達の前では素直じゃない…お前達の言葉で言うツンデレ属性の大和撫子、謎多き美少女転校生の大和撫子、そして昔から共にいた何でも話せる仲の幼馴染みの大和撫子……が居たとしよう、お前達は誰を選ぶんだ?」

「ツンデレ❗」「眼鏡を外せば美少女❗」

「本当にか?お前達は他の大和撫子には目もくれず、その二人と恋できるのか?心が揺らがず……もし他の大和撫子がお前達と付き合いたいといっても断れるか?思いが揺らげば欲を出して全員と仲良くなれる等と言う夢のような展開が起こると思うか?間違えれば全員から忌み嫌われ最終的には孤独になるぞ」

「………」「………」

「もしもお前達が言うような展開が漫画にはあって都合良く事が進みあわよくば全員と仲良くなれちゃう❗……そんな展開が現実のこのまるでハイエナの様な肉食系女子がはびこる学校で起こると思うか?」

「思いません」「うん」

「夢から覚めたようだな、この世に漫画もしくは小説のような出会いが起きるのは何億何千人に一人か二人だ」

「すげぇな…神崎は……」「ぐぅ正論だね」

「じゃあもう一つ聞くが図書室とかとは何だ」

「図書室とかは、本取ろうとしたら同じ本取ろうとしてた美少女と手が触れるんだよ、そっから恋が始まる」

「おかしい」

「またか……」「もう夢も希望もないね(泣)」

「取ろうとした本で展開は変わるんじゃないのか?例えば、取ろうとした本がサイコパス殺人鬼がひたすらに人間を斬り刻むと言う内容の小説ならどうする二人とも気まずいだろうこんな狂気じみた小説を読む相手や自分を何か嫌な感じの雰囲気に見てしまう見せてしまう……例えその本がきっかけで恋に発展したとしても待っているのはもしかしたら大和撫子の異常な束縛か二人仲良死バットエンドだ、……いや待てよ…その本がもし純愛小説なら好印象に見られて恋に発展するかもしれないだが……現実の恋愛は決して純愛と言うわけではないもしかするとドロドロの愛憎劇に発展するやもしれん……やはり触れる本の内容で事は変わってしまうな」

「そうだな……」

「でっでもさ❗もしかしたら神崎と同じ趣味の本が好きな子が現れたらどうするんだよ」どやっ

「俺は基本自分と同じ趣味の奴とはわかりあえん、それぞれ見方が違って意見がぶつかればややこしい」

「だよね(汗)」

「あぁ野田が論破された」

キーンコーンカーンコーン……

「貴重な話をありがとう、野田、大崎」

「いやいや別に良いよ」

「俺らもなんか勉強になったしね❗」


何だかんだで男三人は今日も仲が良い