【くるみside】




あの日以来、会社では一度も会えず。





木崎さんの番号を手に入れたけれど

自分からかける勇気なんてない。








この関係がバレる覚悟も無い。











そう思っていると電話が鳴った。








慌てて画面を見ると


『着信:一ノ瀬 理人』





落胆しつつも電話に出る。






「もしもし」


「あ、くるみ。ごめん今日仕事が忙しくて帰れない。明日も、、」


「そのまま仕事してくるんでしょ?」



「え?あ、うん。ごめんな。」



「ううん、頑張って!それじゃ」













ため息が出る。



今日は金曜日。

きっとまたあの女の人と会うのかな。






旦那はあれからあまり家に帰ってこない。


仕事と言っては泊まって来て

帰ってきたと思えばまたその翌日。








気付かないフリをしてるけど

気付いてほしいのかとも最近思い始めた。




私が問いただせばそれで終わり。



もう終わりへしか向かっていない結婚生活。











まだ1年なのに何がだめだったんだろう。








勿論、私だって同じ立場。




何も言うことはできない。




だからこそ終われないのかもしれない。