確かに、確かに私は涼くんが好きだけど。でも頼くんに協力してもらうって有りなのかな?


頼くんには、何の得もないんじゃ…?



いや……でも、これってチャンス?
涼くんに少しでも近づくキッカケくらいにはなるのかな?

《ただのクラスメイト》から《友達》くらいには…レベルアップしたい。




なんて、人はどんどん貪欲になる生き物で……。


「……協力って、例えば?」


気付けばそんなことを口走っていた。


「んー?涼の性格も、好きなタイプも、何から何まで全部知ってるし。お前を涼好みに仕上げることも、弟の俺なら可能だと思うけど」


少しだけドヤ顔しながら頼くんが発した言葉に、思わず息を呑む。だって、何それ……すごい捨てがたいんですけど。


そもそも、頼くんが家に遊びに来たことを知ったお母さんが『航の部屋にお菓子とジュース持ってって〜』なんて気を利かせたのが事の発端だ。


『は〜い』なんて返事をして、よくマンガやドラマで見かけるお盆に乗せるスタイルなんかではなく、ペットボトル2本とお菓子の入った袋を持って航の部屋へと向かった私を出迎えてくれたのは、なんと頼くん1人。