頼くんを独り占めしたくて、独り占めして欲しくて。だけど、それを声に出すことが出来ないままくすぶってる。
頼くんとの距離をゼロにしたいのに、頼くんはいつも私が思うよりずっと遠くにいる。
「……好き、って」
言ったらどんな顔するんだろう。
笑うかな。
驚くかな。
呆れるかな。
あーあ。俺も、なんて言ってはにかんでくれたら最高なのに。
「……会いたいな」
最後に見た冷たい後ろ姿が頭から離れてくれなくて、中々落ち込みモードから気持ちが回復しない私。
自分の中の涼くんへの気持ちに踏ん切りを付けてから、頼くんにしっかり自分の言葉で告白したい。
……そのためには、まず涼くんと向き合う必要があるのかもしれない。
とは言え「少し前まで涼くんのことが好きでした」なんて、わざわざ伝えるような事じゃないのは目に見えてるし。
あぁ、だめだ。もう現時点で涼くんとの向き合い方すら迷宮入りした。
五十嵐兄弟を頭の中で交互に思い浮かべては、自分の中のゴチャゴチャ片付かない感情が行ったり来たりして、
結局、全然眠れないまま夜は更けていった。