うぅ〜.......。
これじゃ、逆に怪しまれるって分かってるのに。



「花」


「っ、な、なんでしょう」


「なんなんだよ、さっきから」


「別に?.......全然、なんでもないよ?」



嘘をつくのは上手くない。
だからと言って、頼くんに片思いしている私の葛藤なんて素直に話すようなことでもないし。



「へぇ、俺に誤魔化せると思ってるんだ?」


「ご、誤魔化すとか.......そういうんじゃ」


「花は、分かりやすいんだって。自分が思ってるよりずっと」


「.......っ、頼くんがなんでもお見通しすぎるだけだよ」



ムスッと口を尖らせて、勢い余って頼くんを見上げてしまってからすぐに後悔する。


目と目が合ってしまえば、もう逃げられない。そう悟ったのと同時に、頼くんの顔が歪んで、私との距離をグッと詰める。


心臓がバクバクうるさい。



「.......涼となんかあった?」



───ドキッ


やっぱり頼くんには気付かれてしまった。
私からほのかに香る、涼くんの匂いに。