そんな美和子ちゃんの言葉に励まされて、私は頼くんに会いたい気持ちを押し殺すことを決めた。


せっかく、学校以外で頼くんに会えるチャンスだったのにって、すごく残念に思う自分がいるのが正直なところだけど。


仕方ないよね。
涼くんだってわざとやったわけじゃないし。この匂い、やっぱりいい匂いだな〜って思うし。


そう考えたら、お試しさせてもらえてラッキーだったかも。

ってメガポジティブかよ、私。



階段をゆっくり昇りながら、見えてきた航の部屋にドキドキしてしまう。


大丈夫、いつも通り。いつも通り。


てか、そもそもあれじゃん!
私からいつもと違う匂いがするってだけで、まさか涼くんの香水だとは思わなくない?


そりゃ兄弟だから、涼くんの匂いもよく知ってるとは思うけど。まさか私から涼くんと同じ香水の匂いがしただけで、涼くんと何かあったって察するほど私に興味もないはずだし。


って、……言っててかなり悲しい。



私が気にしすぎなのかも。
もし、頼くんと遭遇することになっても、堂々と胸張っていつも通り……