かと思えば、何やら自分のカバンの中からガサゴソと探し物を始めて。


「あった。これ、俺の匂い」


そう言って、涼くんがいつも付けているらしい香水のボトルを見せてくれた。


水色の液体がゆらゆら揺れる、シンプルなデザインのボトル。あー、なんか涼くんっぽいな。


なんて、思っていた私は、


───シュッ、シュッ



次の瞬間、なぜか涼くんに香水を私に振りかけられて、驚きすぎて声も出せなかった。


「……り、涼くん……あの!」


「これで三津谷も俺の匂い」


「っ!?」


「って、ごめん!三津谷もこの匂い好きっぽかったから、ちょっとお試しのつもりだったんだけど。まずは先に聞くべきだったよな……」



申し訳なさそうにシュンと、眉を下げる涼くん。
……そっか、お試しのつもりで……そうなのか。



「三津谷、怒ってる?」



心配そうに私を覗き飲む涼くんに、慌てて首を振る。別に怒ってるわけじゃないんだ。

ただ、ビックリしすぎて、思わず長いこと目を見開いてしまっただけで。