───ガラッ


勢いよく開いた教室のドア。
美和子ちゃんかな?と、反射的にドアへと視線をやれば、そこには予想もしていなかった人が立っていた。



「あれ?三津谷、1人?」


「涼くん……、まだ残ってたんだ」


「そうなんだよ。ちょっと雑用やらされててさ〜。断れない性格って損だよね」


ヘラヘラッと笑って、教室の中へと入ってきた涼くんは、なぜか自分の席を通り越して私の席までやって来る。


「放課後に雑用?しかも涼くん1人で?……もう、ほんとお疲れ様です」


だけど、変にドキマギしていることを悟られまいとなるべくいつも通りを心がける私。


本当は心臓痛いくらいバクバクしてるし、よく分からない冷や汗が心臓の動きに合わせてダクダクと溢れだしている気がする。


「んー、疲れたー!でも、教室入って三津谷見つけたらそれもぶっ飛んだ。むしろラッキー」


「え?わ、私……?」


「うん、三津谷って癒し効果あるよね。他の女子とはちょっと違うっていうか」


「そ、そんなことないよ!」



私の前に立って、相変わらず柔らかく笑う涼くんにドキッとする。なんだろう、この感じ。慣れない……。