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「それで?」


「それで……って、だから」



学校終わり。近所のカフェで美和子ちゃんに今までの経緯と、自分の気持ちを打ち明けた私。


「好きになっちゃったんだ?五十嵐弟のこと」


「すっ!?ち、違うよ!そうじゃなくて、だから!」


「だって、ドキドキするんでしょ?」



そんな私に、美和子ちゃんは容赦ない言葉を浴びせながらキャラメルラテをすすった。


ドキドキ……する、けど。
でも頼くんを?私が……!?



いやいやいやいや!
頼くんは、私の中で出会ってからずーーっと、変わらず航と同い年の"男の子"だもん。

それはこれからも変わらないよ!

それに───。



「涼くんが好きなんだよ、私は」



いつも優しくて、ふわふわしてて。


外見もモデル顔負けにかっこよくて、だけどそれを鼻にかけることはしなくて。

いつも周りをさりげなくフォローしてくれる感じとか。


誰も気付いてくれないような変化も、涼くんだけはいつも気付いてくれたりとか。


そんな、中身もとっても素敵な人だから。
私は涼くんのことが……



「なら、五十嵐弟のことは1ミリも好きじゃないの?」


「っ、」



美和子ちゃんの鋭い問いかけに、必死に涼くんのことで頭の中をいっぱいにしようと頑張っていた自分に気付く。