「はじめまして、春野圭介(はるの けいすけ)です。」



彼は無表情でそう言うと、先生に指定された席へ歩き出した。



「まあ、2年生の途中で転校っていうのは本人が一番辛いからお前ら仲良くしてやれよ〜」



と、担任の山ちゃんがダルそうに喋りながら黒板に書かれた『春野圭介』の文字を消す。



クラスのみんなは期待に満ちあふれた声で「はーい」といい返事。



でも私は返事ができなかった。



世界が止まったみたいだった。