はっきり、と。

最後は呆れたのか私に対しての諦めを感じたのか、吐き出された溜め息がやけに大袈裟に感じた。



「……違うからな?別に、不気味だってことを責めてるわけじゃねぇしっ、」


……と。

ハッとした表情を見せるとなぜか焦りだす国崎くんは、ゆっくり私に視線を投げる。


一つ一つ噛み締めるように国崎くんの言葉を呑み込めば、呆れられているのに少し励まされているように感じられて。


同時に、自分はまだ行動に移していないんじゃないかってことを心底痛感した。



「……私、正木さんと友達になりたい。でも、思ってるだけじゃきっと伝わらないね」



ただ、私がなれるのかなって、なってもいいのかなって不安だっただけ。


でも、結局それは、何もしないことと変わりない。


きっかけは私に流行りの恋愛小説を貸してくれたことだった。


正木さんはいつだって周りの痛い視線を浴びても、嫌味を囁かれても、私に声をかけて笑ってくれていたように思う。