「……もういいって。放っておこうよ。ひ、陽菜ちゃん、正木さんはどうせ、創立記念祭にも出ないんだからさ……?」


「そうだよ。一年の時にさ、ご両親が“くだらぬことにかまけてる時間など、娘には一秒もない”……って、抗議しに来てたの、陽菜ちゃんだって知ってることでしょ……?」



“学年主任も参ってたって話……”。

私の知らない話ばかりが飛び交う中、周囲の人間も、正木さんに対して一線を引いた距離から黙って見ているだけだった。


顔を紅潮させて、まだ興奮気味の春風さんを、二人の女の子が扉の前から引き離す。


それでもまだ納得のいかない春風さんは不満そうに顔を歪めて、渋々自分のクラスへと姿を消していった。



……正木さんが創立記念祭に出れないって。


ーーー“ わたし、創立記念祭も文化祭も、欠席だったからよく知らないのよ……”


心臓の回りがざわざわと揺れて冷たくなる。