「………どいてくれる?」



正直言うとへこみながらも当日失敗しないために、段取りを確認しようとしたその時、凛とした声が廊下の方から聞こえてくる。



「どいてって……陽菜に、言ってるの?」


「そうよ?それに、こんなところでヒソヒソと、みっともないわよ?アナタ達って、月城さんに一人じゃ何も言えないんでしょ?」


「なっ、なによ!正木さん、それって庇ってあげてるつもり……?」


「その、庇ってあげるって。春風さん、上からの物言いやめてもらえる?」


「………っ!!」


「まるで小学生みたいね、アナタ達」



ま、正木さん………。

華麗に歩く正木さんは春風さんに対してあっさり言い捨てると、教室へと入ってきて静かに席に着いた。



「まっ、待ちなさいよ!一つだけ……陽菜が、教えてあげるわ!友達はよく選んだ方がいいんじゃないの!?」


「……っ、」


「そうでしょ?正木さん……っ、大学病院の院長の娘じゃない!だったらもっと友達も選んだらどうなのっ!」



正木さんが、大学病院の院長の娘……?