博樹っていうのは、今、私が寝床にしている塾の講師だ。


授業が終わると、彼はいつも裏口でタバコを吸いながら私をかまう



「まあ、それはよいことだよ。何度もいうけど、キミはやせすぎだ。博樹でなくとも心配になるよ」


そう言って、ブチは四本の足をしならせて、一気にコンクリートのフェイスに飛び乗った。

1メートル30ぐらいだった。



私はもう、そんなことに驚きはしない



体力が充実していれば、私にだってできる。



両足をおもいきし跳ねさせて、速く走ることも



1メートルの壁にひょいと飛び乗ることも。



できないのは、ネコ以外との会話と



ヒトであった昔を思い出すことだけ