「・・・世界中の仔猫をプレゼントしてやりたいと思ってた。
でも、それじゃだめなんだよな」



そうつぶやいて、修二が立ち上がる。

修二が先を歩き、奈緒は半歩あけてつづく。
並んではいけない気がした。彼がいまどんな表情をしているのか、見るのが怖い。


・・・っ、

修二の背中にぶつかりそうになる。

何かに制せられたように、修二が足を止めたのだ。


視線をあげると、修二の顔はななめ上の建物にむけられている。
彼の視線は、そこに注がれている。