軽くつま弾いて、指を慣らしているようだ。

ライブを終えた後なのに、また弾いてくれようとしている。

ごつごつと節が高く、長い指。
日常的にギターに触れている手だと、察せられた。


「ここで弾いちゃって、だいじょうぶ・・・かな?」


「アコギと違って、アンプにつながなきゃ音が響かないから。
ちょっとくらいなら、近所迷惑になんないだろ」


どこか頼りなげな音だ。
でも、とても綺麗な。


「なにを・・・」

弾くの?
それは、あたしの・・・ため?