まばらな街灯が、弱々しい光を投げるだけの夜道。

修二の表情は、なにも読みとらせない。
あらゆる感情の色を溶かしこんだような、暗く深い色の目をして。

いつのまに、こんな陰影をまとうようになったんだろう。

彼が、視線をめぐらせる。

先には、闇が黒々とわだかまっているような駐車場があった。

「あそこ」
奈緒の返事は聞かない。

答えが分かっているからだろう。



時間は、ある。修二のためならいくらでも。


そんなに時間取らせないから。

そう言って、駐車ブロックに座りこむ。