「そういえば、修ちゃん、首のとこ引っかき傷みたいなのあったけど。だいじょうぶ?」


ああ、と修二がつぶやく。


「チューニングしてたら、弦が切れて、撥ねちった」

首すじに手をやる。
今はマフラーで隠れているけれど。

その下には、まだ生々しい傷がある。

紅い雫がにじむ様が、網膜に焼きついて離れない。

ちろりと舌で唇をなめた。