足音と気配は、それでも背後からしだいに迫ってくる。


誰なの・・・?

たまたま方向が一緒なだけ・・・
きっと女の人・・・

自分に言い聞かせる。

角を曲がりながら、勇気を振り絞って、視線を横に向けた。

足が止まる。

相手も歩みを止める。

シルエットが一瞬大きく見えたのは、肩にケースを担いでいるからだと気づく。

でも彼を、見間違うことはない。