ほんとに帰っちゃうのー、

和也の声が追いかけてきたけれど、ふり返らなかった。

これ以上この場にいたら・・・
千香と修二が、ひょっとしたら接近するかもしれない場面なんて見たくない。



ライブハウスを出て、街道ぞいをしばらく歩く。

頭が冷えてくるにつれて、背後から誰かの足音が続いているのに気がついた。

治安の悪い町だ。

ひとまずバッグから携帯を取り出して、にぎりしめる。