ボーン ボーン



お城の鐘がなる。




「ふぁー…」






朝7時。




「最近小鳥さんたちこないわね。
まぁいっかな?」



「やぁシンデレラ!」



「わっ!…えっと…どなた様?」


ベットの上のマリアに、
いきなり挨拶をしてきたのは女の子だった。ここの生徒かな?


「あなたどこから入って…」


一応鍵は掛けてあるのに!
…ボロい鍵を。


「私ダイアナ。知ってる?
あなたはマリアちゃんよね!
よろしく〜!!」



ダイアナはピンク色の髪の毛で、ポニーテール。パステルカラーの緑のドレスを着ている。



「よ、よろしく」

強引に手を取られ、握手をした。
ブンブン振られる。


ダイアナって誰だっけ…どこかで聞いたような。


マリアがダイアナの顔を見つめていると





バタン!




「ダイアナ様!!どこかに行ったと思ったらこんなところに!」


「あーあ、ばれちゃった」


「フリンさん!?」

すごい勢いで入ってきたのはフリンだった。


「すみませんマリア様…
ダイアナ様は逃亡癖がありまして。」


フリンがダイアナの後ろにさっと立つ。

「ああ、そうだったんですか…あはは」


ダイアナはフリンのお嬢様だ。

そういえば聞いたことがあった。


「まったく、こんなに遠い寮までどうやってきたんですか!敷地内には危険なモノがたくさんいるんですよ。蜂、熊、蜘蛛、泥棒。」


フリンはいつもの落ち着いた佇まいではなく、慌てた様子で立て続けにダイアナに向かって言葉を並べる。


ダイアナは毅然とした様子でフリンを黙らせる。

「はいはい、過保護なんだから。
だいたい蜂も熊も見たこと無いわよ。
勝手な妄想はおやめなさい。
さぁマリアちゃん、食堂に行きましょう!」


「う、うん」


フリンさんははぁ、とため息をついている。



「うるさい!」


バン、と乱暴に部屋の中の執事専用ルームの扉を開けて、ロバートが出てきた。




「あ…失礼いたしました、ダイアナ様」

ロバートは突然の来客に驚いていたが、すぐに状況を察したようだ。

「…おいフリン」
ロバートの矛先はフリンに向かったようで、フリンとロバートは何やらコソコソとやっている。

「ごめんごめん、いつも注意はしてるんだけど」

「なんだかんだお前の見張りが甘いんだろうが」

「こっちだって好きで鬼ごっこみたいなことしてるんじゃなくてさぁ」

ダイアナは2人の会話に御構い無しなのか聞いていないのか、のんきに仕切り直す。


「まぁ…ロバート様今日も素敵よ。
お気になさらないで、私こそ急に入ってきてごめんなさいね。
良かったら皆さんで朝食でも?」



ダイアナ以外の3人はふぅ、とため息をつくとその提案に従った。