午後の授業が終わるまで、
特別教室を周り、
敷地内のあるゆる場所を見てロバートの説明を受けた。

「以上だな。」


今は寮に戻ってきて、放課後となった。



113号室




「あー。疲れましたね。」


マリアは小さなベッドに飛び込む。


「これくらいで疲れんな。
お前にはまだ説明することが残ってる」


「はい?何ですか」



「1000万」


「あぁぁあ」

マリアは枕に顔を押し付けた。



「まぁそんなに落ち込むな。
寮のグレードを上げる、アルバイトをする。いろいろと手はあるが…まずは寮のグレードを上げるのが手っ取り早い」


「はい…どうすれば良いんですか」


「この学校ではティアラを全生徒に渡している。」


そう言うと、ロバートはどこからか赤い箱を取り出し、蓋を開けた。


「これがティアラだ。」



「綺麗!」


取り出されたティアラは透明感のある金色で塗装されており、ところどころくぼみが見られる。

「このくぼみには、生徒の成績に応じて与えられるジュエルをはめていく。1つのティアラに5つの宝石を埋められる。5つ宝石を埋めれば成績は1上がり、寮のグレードはローズからスターになる。
そうすれば学費は一気に年500万まで減る。次はムーン、最後はアースだ。
アースは全額免除。」


「全額!でも、なんでグレードを上げればそこまで学費が免除されるのにお金持ちのお嬢様が多いんですか?」


「金があれば卒業できるからだ。
留年もなし。大学を卒業したのと同等の資格も得られる。」


「へぇ…じゃあローズ寮に人が多いのはそういうことなんですね。」.

「何もしなくても卒業はできるからな。
ティアラにジュエルが埋まっているのは250人いる学年の10分の1程度。
ほかはみんなお金持ちのお嬢様だ。
彼らは寮でなくても豪華な家の生活があるから、寮のグレードやら成績やらティアラやら御構い無しだ。
まぁ、その10分の1は貧乏勢で、学費が減るように努力してる奴ら。
お嬢様達は結局何も学ばず、王子じゃなくてどっかの金持ちと結婚して人生ハッピーだ。でもお前のような貧乏は努力して成績をあげなきゃならない。
学費の免除を先に考えないと、月100万払わされることになる。授業をきちんと受けることだ。」



理不尽。
でもこれが現実。



「分かりました。後、何かできることは?」



「2週間後の舞踏会、花嫁選抜第一回を抜けることだ。そうすればジュエルが沢山もらえるだろうな。」


「はい!頑張ります!」

舞踏会はダンスを披露する場でもある。
実力が認められれば、王子とダンスも夢では無い…!



「王子様…」


私はティアラを抱きしめベットに寝転がった。そして窓の外を見上げ、星に祈る。

どうか王子とのダンスを私に…


「はぁ…」


後ろでロバートのため息。