「何で知ってんだそんなこと!」
ロバートは息切れしている。
え、何その動揺。
「あの、フリンさんに食堂で」
【家族と色々あったみたいでね。
森に迷い込んできたところを校長に拾われたんだよ。】
家族といろいろあった、っていう部分は曖昧だったけど…
「あいつ…1番いらねぇ事を」
「え、何話してると思ってたんですか?」
あの時は何言ってるかわかってるよ的な態度で、全然余裕そうだったのに。
「別に」
どこぞのお騒がせ女優だ。
「え〜気になります!」
マリアはロバートが書類を読むふりをしているのを揺さぶって問い詰めるが、断固拒否という姿勢だ。
「お、お父さん」
どうしても話を逸らしたいらしい。
でもいっか。このまま聞いても逆効果かな。
「あ、懐かしい…」
10年前に亡くなった父は、研究者だった。植物が大好きで、家には鉢植えが山ほどあった。恐らく研究対象は植物だったのだろう。
父はいつも研究ばかりしていたが、
愛することを忘れなかった。
「楽しかったな、この頃。
お父さんが毎日絵本を読んでくれて…
全部覚えてます。
大切なことをいつも教えてくれたんです。」
暴力もなく、幸せだった