ロバートは了承を得たとわかると扉を開いた。
ヒュー
扉を開けると、冷たい風が奥から吹いてくる。
扉の中は丸い部屋になっていて、カーブしている壁に合わせた本棚が壁を埋め尽くして見えなくなっている。本棚の中には薄い書類が詰め込まれていて、どこかの研究室のようだ。
「森のほうだと、このあたりか。」
ロバートがごそっと書類を引き抜く。
ぺらぺらと一枚ずつ流し見すると、
紙が動きを止めた。
「マリア・ファブレー。これだな」
ロバートが一枚の厚紙をマリアに渡す。
顔写真のスペースが空いたままだ。
実の母親、亡くなったお母さんの名前は
「