ロバートはマリアの正面に立ち、問い詰める。

ロバートは難しそうに眉を寄せる。

「お前はどこの誰だ。」


ああ…もう無理だ。
答えるしかない。
きっとロバートさんが今までに担当したお嬢様達はおしとやかで上品で、
王子様と結婚はできなかったかもしれないけど。
お金持ちで…私なんかただの召使いだ。


「わかりません。ただ、お嬢様じゃないことは事実です。
森の中の古い屋敷に住んでいて、姉と母と住んでいました。
私だけ、お手伝い係でした。洗濯から食事、掃除、私のことはなんにもできませんでした。お金ももらえなければ、外にも出られなくて、ずっと1人でした。
でも私、自分が可哀想だからって、お嬢様を馬鹿にするようなことを言ったわけじゃなくて、ただ、羨ましかっんです。」


マリアは言うと、俯いて黙った。

やっぱり、


ロバートも黙っていたが、目の前にある扉を指差して、口を開いた。


「ここには在校生のデータがある。
お前が何者か、学校では調べてある。
だからお前が貧乏者だったとしたら
校長とデータを調べる教員にはバレてるし、
他の職員や他の生徒にそれを広めたり、
身分の理由で追い出したりすることは禁じられている。
だから俺はお前の身分もわからない。

お前が許可をだせば、俺はここにあるお前のデータを探す。
執事にその権利はないが、自分の主が何者かということについて知るくらいの権利はあると思ってる。」

ロバートは腕を組んでマリアの答えを待った。


「私も見たいです。
私が何者か。」

お父さんや…
記憶のないお母さんについても、調べてくれているかもしれないから。

ロバートの目を見て、マリアは頷いた。