部屋の天井は斜めになっていて、
その斜面には小窓がついている。

その窓から月明かりが差し込み、
部屋は青白く染められていた。

部屋の中はベッドと机、しかなく、
殺風景と言えた。

本当にここで毎日暮らしてるの?
つまらなすぎる。


「あ、本…」


よく見ると、部屋の壁には本棚がぎっしりと並んでいた。

マリアは扉を閉め、中に入った。


本を見ると読みたくなるのがマリアだ。

大量の本棚に目を奪われる。

「こんなにいっぱい…」


普段なにを読むのだろう。

執事の作法…
執事の心得…
執事の掟…
筋力トレーニングの方法…
お嬢様の作法…
お嬢様の心得…
お嬢様の…


「仕事ばっかりか!」


優秀で仕事ができるロバート。

毎日これだけの本を読んで、
あんな立派な執事になったのだろう。

自分は…

授業もあくびばっかりで、筋力全然ないし、テーブルマナーも覚えられないし…

とにかくダメなお嬢様だ…

泣きたくなる。


ため息をついていたら、
違う種類の本も混じっているのに気づいた。



王国の魔法
プリンセスと鏡
赤い執事
狙われた姫
愛のうた…


色々なSF、ミステリー、推理小説
まで、様々な物語が散りばめられていた。

特に多いのは…

「ファンタジー?」


あの現実主義者が…

いつものーお花畑が!ー…は?


かさっと紙が重なる音がした。


後ろを振り向くと、机の上にノートが置いてあった。