「わんっ!わんっ!わんっ!」

マリアは犬を抱きしめて頭を撫でる。

「よしよし、いいこ、静かにしてね、
しー、しー!」



「ジャッキー!」


誰かの声がした。



犬はその声に反応し、ベットから飛び降りた。暗闇の方へ走って行く。


「誰…」


マリアは暗闇を見つめた。

犬を連れてくるなんて外部の人間に違いない。しかし、犬が走って行ったのは部屋の中。


つまりこの部屋の中に、知らない
誰かがいる。



ぱちん、と電気がついた