私は夏の季節、秋の季節と順調に勉強を進めた。

当たり前だけれど、私と久方先生の関係は「先生と生徒」から何一つ変わっていなかった。


私は焦っていた。

どうすればいいかわからなかった。


勉強するほど成績は安定するも、

このまま受験を終えたら先生に会えなくなる。

どうにかして先生との距離を縮めたかった。






それはある帰り道のことだった。

先生が車の助手席に乗るのが見えた。

運転席には、若い女性の姿がみえる。


(え?誰?彼女?お姉さん?)


一花は心臓がバクバクと脈打つのがわかった。

思わずカバンを放り出し、車の方へ駆け寄る。

が、遅し、その車は走り去ってしまった。


一花は荒くなった息を整えると、カバンを拾い、ぎゅっと握った。

告白しないでいるってこういうことなんだ。
先生を好きでいるってこういうことなんだ。

小雨に降られながら一花は思った。


私、告白する。