そんな訳で『花神王子製紙』に社員として潜入し、産業スパイを見つけ出す事になったシチロー達……今日はその初日となる。


シチローは、普段のラフな服装からリクルート用のスタンダードなスーツへと着替えていた。


「いやぁ♪スーツなんて久しぶりに着るなぁ~♪コブちゃん、ネクタイ曲がってないかな?」


「う~ん…ネクタイは曲がってないけど、性格の方がちょっと…」


「ほっといてくれっ!」


そして、チャリパイの面々は、シチローの車に乗って約束の時間に花神王子製紙へと出発した。



『花神王子製紙本社』…



業界No.1のシェアを誇る花神王子製紙の本社は、広大な敷地に複数の建物が建ち並んでいて、その敷地の周りを取り囲む高い塀には、幾つもの監視カメラが取り付けられていた。


「さすがに、セキュリティーには力を入れている様だな……」


駐車場からその建物の様子を見て、感心した様に頷くシチロー。


4人揃って会社の受付の前に立ち、花水の名刺を見せて面会を申し出ると、すぐさま連絡を受けた花水が上の階から降りて来た。


「いやぁ♪お待ちしてましたよ♪
早速、人事部の方で人手の不足している部署を聞いてみましょう」


花水はそう言って、シチロー達を人事部の方へと案内した。