花水は後を続けた。
「それが、ついこの間からなんですが、このサンプルを社外に持ち出す者が居るらしく…もしや、私共の会社にその技術を盗もうとしているスパイが潜り込んでいるのではないかと思いまして…」
シチローが神妙な顔で、掛けている眼鏡をずりあげた。
「『産業スパイ』か……つまり、花神王子製紙に潜入し、そのスパイを特定して欲しいという事ですね?」
「お察しの通り!なにとぞお願いします!」
「わかりました!潜入捜査は、我々森永探偵事務所の最も得意とする分野です。どうか安心してお任せ下さい♪」
その後、一通りの事務手続きを済ませ、花水は帰って行った。
「そういう事だ!みんな、新しい仕事だよ♪」
「よ~し♪花神に入社して、ボーナスをもらうぞ~♪」
「会社のイケメン社員と合コンするぞ~♪」
花水が帰ったとたん、そんな事を言って勝手に盛り上がる子豚とひろき。
「やる気あんのか…キミ達」
シチローが呆れ顔で溜め息をついていた。
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