祭が建物に入ってから、かれこれ30分程が経過していた。
「これは長期戦になりそうだな……」
祭が入って行ったきり何の変化もない入口を見つめて、シチローが呟く。
「シチロー♪やっぱり張り込みには、牛乳とアンパンじゃない?私、そこのコンビニでちょっと買って来るわよ♪」
そう言って子豚は、祭のいる工場の裏手にあるコンビニの方へと歩き出した。
「コブちゃん…あんな格好で行って、コンビニ強盗に間違えられないだろうな…」
「あたしもビール買って来ようかな♪」
そう言って、ひろきも子豚の後に続く。
「あっ、ひろきも来る?そういえば今日マガジンの発売日なのよね…ちょっと立ち読みしちゃおうかしら♪」
「そうだね~♪張り込みなんて退屈だもんね~♪」
「おいっ!お前らやる気あんのか~っ!」
二人の背中に向かってシチローが怒鳴りつけると、子豚とひろきが振り返ってシチローをじっと見つめ返した。
「…………」
「な…何、二人共?なんか文句があるの?」
「シチロー…この建物、裏にもドアがあるけど…」
「え?・・・・・」
子豚達のいる位置からは、ちょうど建物の裏側が見えるのだった。
.