電車を降りた祭は、シチロー達に気付く様子もなくひたすら歩いていた。


「おかしいな…確か、祭の自宅はこの駅で降りるんじゃ無い筈だ」


この近辺は、自動車の部品や家電部品などの、いわゆる下請け中小企業の工場が建ち並ぶ地域だった。


こんな場所に、祭は何か用事でもあるのだろうか?




やがて、ある建物の前で、祭の足がピタリと止まった。


「シチロー!祭が建物の中に入ったわ!」


4人は、小走りにその建物の前へと向かった。


「何か、倉庫みたいな所だね…」


祭の入った建物は、小さな工場とも倉庫とも思えるような建物であった。
しかし、会社名を示す看板などは何もない。


「怪しいな…よし、外で少し様子を見る事にしよう」