「それで、スパイ見つかったの?」


ひろきに尋ねられ、シチローは思い出したようにあのトイレットペーパーを皆の前に差し出した。


「そう!その事なんだけど…みんな、これを見てくれ」



てぃーだ、子豚、ひろきの三人は、不思議そうな顔でそのトイレットペーパーを凝視する…


「なによ…普通のトイレットペーパーじゃない…」


「そう、見た目は何の変哲もないトイレットペーパーなんだけど…コブちゃん、この紙を破いてみなよ♪」



「破くって…こんなの破いて……って、あら?
何これ!破れないじゃない!」


シチローからそのロールを受け取った子豚は、そこで初めてその紙質の異常に気が付いた。


「シチロー、まさか…」


子豚の様子を見て、てぃーだはすぐに何かを察したようだ。



「そう!これは間違いなく、花水部長が言ってたあの新開発の“破れないティッシュ”だよ!」


シチローが得意顔で断言する。


「え~っ!こんなのトイレに流したら、詰まっちゃうよ~!」


「花神製紙って、何考えてるのかしら……」



しかし、子豚とひろきには、この状況がいまいち理解出来ていないようであった。