「しめしめ♪誰もいない♪」


シチローが先程のトラックの場所まで戻ってくると、あの男は既にいなくなっていた。


それでも、辺りをキョロキョロと見回して人影がない事を確認すると、シチローは幌の付いたトラックの荷台の中へと飛び乗った。


「ムフフ♪」



ところが……







「なんだよ!ただの古新聞じゃね~か!」


荷台の中にあったのは、何の変哲もない只の古新聞と古雑誌の山だった。


ガックリと肩を落とす
シチロー。


「いや、まてまて!意外とこの下の方に隠してあるかもしれないぞ!」


まだ諦め切れないシチローは、山積みになっている古雑誌の下の方にある雑誌を強引に引き抜いた。



ドサドサドサ~!


「うわっ!」


バランスを失った古雑誌が、シチローの方に向かって雪崩のように覆い被さってくる!


それと同時に、狭い荷台の中を凄まじいホコリが舞い上がった。


「ヘーックショイ!
……クソッ!」


そのシチローの手にした雑誌も、ごく普通のファッション雑誌であった。
どうやら、完全にシチローの見込み違いだったようである。


シチローは、クシャミで出た鼻水を拭く為に、傍らに並べてあったトイレットペーパーに手を伸ばした。


そして、30センチ程引き出して、ちぎろうとした時…シチローはある異変に気が付いた。



「あれ?…なんだよこのロール…切れないじゃね~か…」


普通なら、手で簡単にちぎれる筈のトイレットペーパーが、まるで布のように頑丈であった。


「コレって、まさか……」