「これ、どうぞ。」

「あの汚れてしまうので大丈夫です。お気遣いありがとうございます。」

「そんなこと気にしなくて大丈夫ですよ。それに濡らしてきた意味も無くなってしまいますから。」
それもそうかと思ったわたしは
「ではお言葉に甘えて。ありがとうございます。」

そう言ってハンカチで膝を拭った。

「ありがとうございました。洗って返したいのですが、お勤め先教えて頂くことは出来ますか?」


「君と同じだよ?」

「はい?」

「僕、東高で生物の教師をしています、工藤です。知らないってことは1年生かな?」


「そうです。1年の菅野といいます。これ、洗って返しますね。ありがとうございました。」

「別にいいのに。1年の生物ももつ予定だからよろしくね。気をつけて帰るんだよ。」

「はい。本当にありがとうございました。」