極道を継ぐと決めた俺よりはまだ可能性があった煌月を選んだ方が
安全に暮らしているかもしれない。


「私が惹かれたのは、朱い瞳だけではありません。その瞳の闇に惹かれた。
これは、貴方にはないものです」


悔しそうに歪んだ顔を見せないように
俺は真白を自分の胸に抱き寄せた。

見せるのもイヤだが、何より、
真白は今、怖がっている。
こんな状態の真白がこれ以上話すのはキツいだろう。


「寝ていろ。疲れたろ?」

「でも・・・」

「明日は休みだからな、2人でゆっくりしようか?」

「フフ、そうだね?・・・」


静かに目を閉じた真白に俺の上着を掛け、
楽に寝られるように片足をたて、
真白の背を寄りかからせる。


「眠ったのか?」


拓哉は真白を優しく見つめ、陽希は
心配そうにのぞき込んでくる。
こいつらも変わったもんだな。

そして俺は前に立っている煌月に向かいながら笑った。

「どうだ?自分が愛した女が取られるのは」

「っ、なんだよそれ・・・記憶がないことをいいことに、つけ込んだんだろ?!」

「あぁ、だからどうした?
俺がやっていなきゃ、真白は死んでたぞ?
なぁ拓哉、陽希」