ー side莉月 ー
俺の腕の中でずっと震えている真白は
皚という奴が知らないことを話し始めた。
「あれは、さっきの女・・・私と白葉の
姉が巻き起こした出来事・・・
何とか白葉だけはと逃がしたのに、
私がまた近くなんかに行ったから、
あいつは白葉に目を付けたんです。
そこにいる女達は雇われた他の族の姫。
私が気にくわないっていうのは
本当のことなんだろうけどね?」
自分を嫌っていた弟のために
真白はまた、奴隷の道を選んだっていうのか?
何も知らない弟のために、自分のことを
犠牲にしたのか?
「莉月?私は、誰かが傷つくよりも
奴隷に戻った方にメリットがあったの」
その目には、不安が感じられた。
今までの話で何となくは理解できた。
殺し屋であることも、
それがどれだけ優れているのか。
それを知られて、離れていかないのかという心配でもしているのか?
「お前が誰であろうと、俺には関係ないぞ?メリットがあったんなら、
それは正解だったんだろ?
それに、お前と会うことができたんなら
俺にとってもメリットだ」
こんな事を考えるのは俺くらいか?
愛してる女が奴隷・・・別にそれなら
それでいいんだ。
こいつに会うためなら・・・