「お前は、死にたいのか?」
「不要ならば私はいらない存在・・・
役に立たなければ捨てられる・・・
それが私の普通です。」
ずっと言われ続けてきた。
『お前なんか生まれて来るべきじゃなかったんだ』
『汚い、汚れた人間』
『変な色をした異人』
『見捨てられた哀れな子供』
母さんが死んで親戚に預けられ、
親戚に売られ、それからずっと
買われては売られの繰り返し・・・
それが私の人生だから・・・
「お前・・・ここを出たら死ぬ気なのか?」
「はい」
「なら・・・お前の命は俺が貰う」
「それは、買うと言うことですか?」
「いや・・・俺の女になれ」
その言葉の意味が私には理解できなかった
この人の女とはどういうことなのか、
飼い主とは何が違うのか私には解らない。
「いつまででしょうか」
「なにがだ?」
「いつになったら私を売りますか?」
「売らない・・・お前はもう俺の物だ」
そう言って男の人は私を抱きしめた。
その温もりが凄く暖かくては
私は目頭が熱くなった。
この感覚は何なんだろうか・・・
こんなものは習っていない・・・
「もう少し寝ていろ・・・また明日
起きたときに会えるから」
その意味が理解できなかったが、
私はそのまま眠ってしまった。