ー side真白 ー
陽希が呼びにいってから時間がたち、
中の方が騒がしいと思い
呼びにいってみると、知らない女の人が莉月に抱きついていた。
それを見たとき、自分でも驚くほど冷静にその人を見ていたと思う。
そして、入った少し先の組員の頬に
あの女の人がつけたと思われる傷があり、
それを見たとき、莉月の大切な家族に
傷を負わせたことに腹が立った。
だからだろうか。こんなに低い声がでるとは思っていなかった。
女が婚約者だといったとき
こわくなった。莉月はその人を選ぶんじゃないかと・・・だけど
そんな事はありえない。
自分の組員が傷つけられていて莉月が
そんな人を好きになるわけがない。
私はそう信じるよ。莉月・・・
私が組員の傷を気にして手当しようと手を伸ばしたとき、莉月に引っ張られた。
そんな莉月が何だがかわいく思えて、
私は抱きしめ変えそうと思ったけど
どうしても莉月の服についている臭いが嫌だった。
これが嫉妬というものなのだろうか。
初めてのことであまりよくわからない。
車に乗ると、莉月は抱きしめてくれた。
「すまん」
「何で謝るの?」
「お前を・・・不安にさせた」
「大丈夫。私は莉月を信じてるから」