この時の私には全てが絶望的で
何かを考えている暇なんてなかった。


ただ毎日、暴力を受けることだけ、
もう痛さすらも感じなくなってくる。




「君・・・八神真白ちゃんだね?」

「えぇ・・・そうですよ。
私を買いに来たんですか?」

「っ!いや・・・君を助けに来たんだよ」


そう言った謎の男がどんどん近づいてきて
月明かりで顔が見えた。

碧色の髪毛に澄んだ青色の瞳
この人とは・・・会ったことがある気がするけど・・・何故だろうか


「今これを外すからね」


そう言ってどこから見つけてきたのか
鎖の鍵で外してくれる。


「貴方は・・・誰?」

「・・・覚えてはないよね・・・」


男の人は悲しそうに顔を歪めながら
私を見ていた。

どうして、そんなに悲しい顔なのか
私にはわからない・・・
今まで人と接したことがなかったから。


「ここは危ない・・・一緒に来るんだ」

「私は・・・もうすぐ死ぬから」

「え?」


母さんとももう会えないこんな世界で
生きていても何の意味もない。
だから・・・母さんの所に行くんだ。


「それは駄目だ!死ぬ事だけは絶対に
止めてくれ!」


どうして知らない貴方がそこまで
必死になるのか私にはわからないよ・・・


「一緒に外へ出るんだ。そして、俺が
君に光をプレゼントしてあげる。」