「あの女は恩すら忘れて、
唯吹を売ったんだ。」

「「っ、」」


その空間で全員が息をのむが
わかるほど、全員の顔は歪んでいた。


「唯吹だけじゃない。白葉も真白も
売られていた。探しても探しても
見つからなくて、ようやく見つけたと思ったのに・・・」


葉桜組長は今までどれだけ自分を
責めてきたのか・・・
俺にはその気持ちがわかるようでわからない・・・
俺はまだ可能性がある。
だけど、葉桜組長はもう・・・探すことも許されない・・・



「親父・・・組員を、かしてくれないか?」

「は、好きにしろ。これはてめぇの
ためじゃねぇからな?真白のためだ」

「ふ、わかってるっての」


俺には、まだ可能性がある。
後悔する前に、誰かに言われる前に、
俺ができることがあるんなら
一分一秒でも早く、動くんだ。


「行くぞ拓哉、俺の蝶を迎えに行く」

「はっおせぇんだよ!」