「挨拶したあとそこには貴方が一度拾ってきた女が来ましてね。
私達のことも、そしてなにより貴方のことを侮辱されたんですよ。
それに、真白さんはキレましてね・・・
だからこそ、拓哉を貴方の所に行かせたんです。会わせたくなかったから」


あの時真白が話をしていたのは
そのことだったのか?
それを、俺に言おうとしてくれたのか?


「女を追い出した後、真白さんは
貴方のことばかり考えておいででしたよ、
エレベーターの中では、
『莉月が悲しまないように、私が支える。
莉月が私にそうしてくれたように、
不安にはさせたくない』
あの時の真白さんは、とても嬉しそうでしたよ・・・」


俺ばかり、あいつに支えられてる。
誰にも心を開かなかった真白が
俺だけにこころを開いてくれてると思っていた。
だけど、あいつはどんどん俺から離れていくようで、もう
俺は必要ないんじゃないかって・・・


本気の相手だからこそ、俺は・・・
不安定になる。


「今度こそ本当に、消えてしまいますよ」

「っ、んなこと・・・」


有り得ない話じゃない・・・
俺から離れたのに、そんなことが
ないなんて言い切れるわけがない。


「おい、」


後ろから出てきたのは翠だった。


「なんだよ」

「てめぇの女のことだ。
凪穂がキレてんだよ・・・ハァ、
てめぇの覚悟はそんなもんかよ。そんな軽い気持ちでいんなら、早く手放せ」

「黙ってろ、でてけ・・・1人にさせてくれ」


呆れながら出て行く翠に、
怒って出て行く拓哉、冷静ではいるが苛ついている陽希・・・