「柚ちゃん、好きな人いるの?」

これ聞くの
どれだけ嫌だったか、とか、知らねーだろうな。

ここで、うんとか言われたら、
俺、死んじゃうっての。

そんな顔で柚ちゃんに煮玉子を戻しながら聞く。


「……いない。」

……良かった。

「そっか。彼氏もいないよね。」


これは、母親から聞いて知ってる。
だから。
大丈夫。

「龍之介だって、いないじゃん。な……」

はは。

少しは、
分かってくれたかな?


「うん、柚ちゃんがずっと好きだったからね。誰とも付き合わないよ。」

そう。

だから、

お願い、

早く俺を好きになって。