そして入学してから1ヶ月くらい図書室に通い続けていたら、ある事に気がついた。
丁度一冊の本を読み終わり、肩を回してふと窓の外を見ると、新校舎で勉強している先輩達が窓を通して見えた。
私達が普段過ごしているのは、皆からは旧校舎と呼ばれる古い作りの校舎だ。
図書室は、新校舎と旧校舎の丁度間らへんにある。
そして皆勉強してる中、一人だけ黒板ではなく窓の方に顔を向け、こっちを見ている少年が見えたのだ。少年と言っても相手は先輩。
少年は黒縁眼鏡をかけ、少し茶色がかってた髪の毛をしている。
初めは気のせいだと思ったが、次の日も、その次の日も、またその次の日も何故か目が合うのだ。
この間なんて、小さく手を振られてしまった。
――私に振ってるんだよね……?
そんな事を考えるうちに最近は、目が合ったら私からも手を振ってしまう。
毎日毎日この繰り返しで、いつの間にか『本を読むため』ではなく『先輩を見るため』に放課後図書室に行くのが日課になってしまった。