いなくなる…。
誰が?
元太が。
いなくなる?
「あはは。びっくりした?」
ヘラリと笑い、おちゃらけて話すから、緊張の糸が切れたみたいに、あたしは胸をなで下ろした。
「じょーだんだ?」
「ホント」
そして元太は、真面目な顔をする。
束の間、あたしはまた胸が詰まる。
元太はそっと微笑むと、静かに言葉を並べた。
「父さんと母さんが、離婚すんだ」
寂しそうな目を、元太はワザと伏せたように見えた。
「だけん…」、と元太は渋りながら付け加えた。
「俺、母さんについてくわ。父さんには姉ちゃんと弟がおるけん…」
その声は、もう覚悟を決めた迷いのないものだった。
確実に近づいた、あたしと元太の分岐点。
それは、君がいなくなったあの日より、現実味のないもの。
ヘラヘラ笑ってたかと思えば真剣な顔して、何を言い出すかと思えばこんなことを。
「…ウソ」
「ウソじゃね」
だからあたしは言い切ったのに、元太は、それすら否定した。
嘘じゃない。
元太が、いなくなる。
ここから…、いなくなる。
誰が?
元太が。
いなくなる?
「あはは。びっくりした?」
ヘラリと笑い、おちゃらけて話すから、緊張の糸が切れたみたいに、あたしは胸をなで下ろした。
「じょーだんだ?」
「ホント」
そして元太は、真面目な顔をする。
束の間、あたしはまた胸が詰まる。
元太はそっと微笑むと、静かに言葉を並べた。
「父さんと母さんが、離婚すんだ」
寂しそうな目を、元太はワザと伏せたように見えた。
「だけん…」、と元太は渋りながら付け加えた。
「俺、母さんについてくわ。父さんには姉ちゃんと弟がおるけん…」
その声は、もう覚悟を決めた迷いのないものだった。
確実に近づいた、あたしと元太の分岐点。
それは、君がいなくなったあの日より、現実味のないもの。
ヘラヘラ笑ってたかと思えば真剣な顔して、何を言い出すかと思えばこんなことを。
「…ウソ」
「ウソじゃね」
だからあたしは言い切ったのに、元太は、それすら否定した。
嘘じゃない。
元太が、いなくなる。
ここから…、いなくなる。