本当はね、ずっとバレないって思ってた。
気づかれないって思ってたの。
あたしがこんな風に、元太のこと気にしてたこと。
だって誰も知らないから。
あたしの中なんて、誰も知るはずがないから。
「…ねぇ、ゲンタ」
怖い。
足が竦んで動けない。
やっとの思いで出た声も、情けないくらい震えていた。
暗がりから、物音が聞こえない。
かろうじて見える元太のシルエットだけが、そこにあった。
「ゲンタ?」
元太からは、動く様子さえ窺えない。
その静寂に、息が詰まる。
なのに、逃げ出したいのに、足が言うことを聞かない。
あたしはあからさまに、頭を伏せた。
「もういい」
暗がりから元太の声がした。
ずっと遠くにいたのに、あたしの頭の上から。
顔を上げたら、元太は目の前に立っていた。
「もういいが」
元太が寂しそうに笑った。
初めて見た、元太の笑い方。
あたしは何度、元太から視線を逸らせばいいのだろう。
気づかれないって思ってたの。
あたしがこんな風に、元太のこと気にしてたこと。
だって誰も知らないから。
あたしの中なんて、誰も知るはずがないから。
「…ねぇ、ゲンタ」
怖い。
足が竦んで動けない。
やっとの思いで出た声も、情けないくらい震えていた。
暗がりから、物音が聞こえない。
かろうじて見える元太のシルエットだけが、そこにあった。
「ゲンタ?」
元太からは、動く様子さえ窺えない。
その静寂に、息が詰まる。
なのに、逃げ出したいのに、足が言うことを聞かない。
あたしはあからさまに、頭を伏せた。
「もういい」
暗がりから元太の声がした。
ずっと遠くにいたのに、あたしの頭の上から。
顔を上げたら、元太は目の前に立っていた。
「もういいが」
元太が寂しそうに笑った。
初めて見た、元太の笑い方。
あたしは何度、元太から視線を逸らせばいいのだろう。